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Android オープンソース アプリの著作権について考える

Androidでも他者の作ったアプリ(ソースコード公開)をそのまま、マーケットに公開する事例が出たようです。今後も多数起きると思います。

 これは非常に重大な案件です。 こういうことが頻発すると、オープンソースでコードを公開しようという人を躊躇させることにもなり またApache2.0より使いにくいライセンスで公開せざるを得なくなります。

いろいろ問題点や対策を考えていきたいです。

気をつけたいこと

・ライセンス以外のことは非難しない方がいい ライセンスに問題がある場合はその部分だけについて言及しましょう。 それ以外の部分の指摘は、ややこしくなるので触れるべきではありません。 (オープンソースの定義上、商用禁止とか特定のサイトへ登録禁止や使用者制限とかつけれません)

 ややこしいというのは、オープンソースの安心性を守るためにも、ライセンスを守る限り自由に使えることを保障されないといけません。 ライセンスを守っているのに作者からクレームが来るのであれば、安心して使えなくなります。

現状

ライセンス的に問題ない場合も、ソースコードを公開した人はマーケットへの登録を想定していないケースがある ソースコードの公開は情報の交換には非常に便利なので解決策を探りたいです。

具体的な対策

ソースコード公開時には覚悟し正しいライセンスを選ぶ

オープンソースライセンスを選ぶ限り、マーケットへの登録は回避できません。 クレジット明記などを厳守してもらうことは可能ですが、同じマーケットに並びます。 避けるには、別途独自のライセンスを定義する必要があるでしょう。 ただしこの場合、Google Code Hostなどオープンソース限定のサイトを使えなくなるでしょう。

やはりマーケットに登録されたくない期間は公開しないのが無難でしょう。

Androidでの事例

株式会社エクスプレッソ(EXPresso Co,.Ltd.)が宿ろいどをリネームしたHOTEL SEARCH IN JAPANを公開した http://blog.ngsdev.org/archives/android/oyadonavi/ http://s03.megalodon.jp/2009-0711-0720-31/www.androlib.com/android.application.jp-co-expresso-oyadonavi-jtit.aspx

結果的には、Apache ライセンスを守っていなかったのでライセンス違反でした。

 とりあえずマーケットからは消えた模様。 http://www.metamix.com/4325.php によると "他人の著作権を侵害するものではないかどうか、社内でチェック体制を強化してまいりたい"とのこと ライセンス的にはクレジットを付ければ問題無いから再度公開するのだろうか? たしかに、マクドナルドの行列偽装みたいに、法令的には問題ない場合もあるけれど、倫理的に守られるべきことはあるのではないでしょうか。

 ただし、これはAndroid Marketの問題でもある、 ライセンスを守りクレジットを付けたらまったく同じアプリが登録できてしまう。 株式会社エクスプレッソのような感覚の会社でなくても、公開されているサンプルアプリを自社開発と言って登録する会社や個人はいくらでも出てくるだろう。 クレジット明記などのライセンスを守れば問題は無くなるが、同じアプリだらけのAndroid Marketの魅力は下がるだろう。 これはhello worldというプログラムでも登録できてしまうAndroid Marketの制限の無さのせいです。

 このケースですと、元ソースコードをGPL 3.0で公開すれば、最低でも説明ページにGPLと明記せねばならず、 株式会社エクスプレッソはアプリあるいはサイトからソースコードへアクセスできるようにする義務が発生しました。 Android Marketの仕組みから同じアプリでも登録できてしまいますが、ソースコードの拡散には役立つと思います。 (ただGPLは実際にコードを再利用時にいろいろ制限が発生します。私はほとんどGPLのコードは使いません)

 ただよく考えれば、隣国にコピー大国をかかえる日本ではそれほど驚くことではないでしょうね。 ただ、日本国内でしかも、無知な個人ではなく、聞いたことが無いとは言え、株式会社エクスプレッソという企業が起こしたことは正直驚きました。

また、一般オープンソースアプリで起きたことを考えれば、優秀なアプリがオープンソースで公開されている場合、ローカライズされ販売されることもありえます。 ただしライセンス的が守られている限り批判はできても、削除はできません。

Slashdotにスレッドがたちました。 http://slashdot.jp/yro/09/07/13/0216259.shtml

作者さん的には、解決したようです。 http://blog.ngsdev.org/archives/android/oyadonavi2/

ユーザーの評価で淘汰できないか?

 ただAndroid Marketでどう評価するかはユーザーの自由です。 ライセンスに問題ないのでOKと5★あげるのもいいですし、 まったく同じのがあるので存在価値が無いと1★と評価するのもいいです。 丸パクリのアプリでは評価がつかないとなれば、株式会社エクスプレッソのような事例は減るのではないでしょうか? もちろん、ライセンス違反のアプリに関しては、Android MarketからFlagged as inappropriate Flag as inappropriateすることで通報が可能です。 内容が同じだけのアプリはAndroid Marketには必要ないと判断するユーザーが増えれば、ライセンス的に問題なくても消えていくでしょう。 Android Marketは空気はユーザーにまかせられています。

ライセンスの選び方

どのライセンスを選んでも同じAndroid Marketに並ぶことは避けられません。

BSDライセンスですと、著作者名が表記されます。 すでに公開から日時がたち、埋もれてしまったアプリの場合、丸パクリのアプリの登場によるダウンロード数が減ることはないでしょう。 逆にほんの少しですが、クレジットによる知名度アップが期待できるかもしれません。また検索でクローンアプリの発見が楽になるでしょう。

商用利用を好まない場合はGPLにするといいかもしれません。 ユーザーによっては、ソースが公開されているGPLライセンスのアプリをわざわざ購入したいとは思わないでしょう。

Apache 2.0は丸パクリする企業や個人に対して、ライセンス的に弱いですね。

iPhoneでの事例

TwittervilleというアプリがNatsuLion for iPhoneをクローンした件 http://d.hatena.ne.jp/takuma104/20090328/1238261494

Apple Bans Khalid Shaikh's Perfect Acumen Company(オープンソースかどうかは未確認) http://digg.com/apple/Apple_Bans_Prolific_Developer_from_App_Store しかしながら、金儲けを目的で人の著作物を登録していた人がいたという事例

ソースコードを公開する時にはライセンス選択に十分気をつけること

エモーショナル昆虫さんの所で非常に丁寧な文で書かれています。 http://d.hatena.ne.jp/se-mi/20090713/1247505106

少し厳しく見方です。 性善説を用いてオープンソースは成功しない http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20090329/1238349476


関連サイト
www.akjava.com | github.com/akjava
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